さくらい別館 さかい楼
京料理さくらい本館の東側にある、庭園に囲まれた別館です。
古い建物の佇まいを残しながら、現在はテーブル・椅子席を設え、ご婚礼やご会食、ご法要など、大切なお集まりの席としてお使いいただいております。
窓の向こうには庭園と観賞魚池を望み、四季の移ろいを感じながら、ゆっくりとお過ごしいただけます。
さかい楼とは
昭憲皇太后は、五摂家の一つである一條家の当主・一條忠香卿の第三女として、現在の京都御苑内にあった一條家邸にお生まれになりました。
幕末、元治元年(一八六四)。
京都では禁門の変(蛤御門の変)が起こり、御所周辺での戦闘から広がった火は、洛中の広い範囲を焼き尽くしました。
当時「壽栄君」と称されていた、のちの昭憲皇太后も、この戦火を逃れられたことが伝えられています。
さかい楼には、この折、壽栄君が上賀茂へ避難され、この館で過ごされたという伝承が残っています。
館は、かつて御所に仕えた女官が隠居するにあたり賜ったものと伝えられ、細身の柱を用いた「女建て」と呼ばれる繊細な建築の趣を、今に残しています。
また、上賀茂へ向かわれる途中、賀茂川の堤から南の空を覆う大火の煙をご覧になり、洛中の無事を案じられたとも語り継がれています。
幾度もの歳月を経た今も、さかい楼には古い柱や木組みが残り、幕末の京都を伝えるひとつの記憶として、大切に受け継がれています。