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~震度6強 銀溜塗椀~

Posted by on 2007年4月26日

先月3月25日に発生した能登半島地震、
いつもお世話になっている漆器店も被災されました。

遡ること昨年末、一ヶ月に一度顔を見せてくださる
輪島塗製造本舗の若ご主人に煮物椀をお預けました。

鈍く何とも言えない光を放つこの銀椀も、熱い鱧に熱い地をはると、
次第にくすんできますので、オフシーズンには生まれ故郷の輪島で
その光を取り戻すべく磨いてもらいます。

この銀椀が今日、元気な若ご主人の姿と共に、さくらいへ帰ってきました。

 

sakurai2007-04-26-02.jpg

 

もう何年になりますでしょうか、私の生まれる前、
この方のお父さんが、偶然小店の暖簾をくぐられたときから
お世話になっております。
おかげさまでたくさんの道具を揃えさせていただきました。 小生の
修業先にもお出入りされていまして、その際は顔を合わせても
「知らないふりしてください」と小声でお願いして、
接していたことを覚えています。

一ヶ月前、そのニュースにびっくりして地震のあとに連絡すると、
皆さんお変わりなくお店も大丈夫だったと。

今日 詳しく話を伺うと、お店は大きな被害を受けた門前町から20㌔ほど離れた
市街地の新橋にあり、鉄筋コンクリート建ての頑丈構造。
しかしご近所には全半壊の家屋がたくさんあり、その模様はご自身信じられなかったと。

製造元のなかには、復旧に時間がかかったり、
廃業せざるを得ないところもあるとのことで、
日本が誇る伝統産業の存続が危ぶまれています。

製造元が地震の影響で減少すると、寡占が進むように思えますが、
逆に製造元の廃業は、そのお店が得意とする分野の存続を絶つことになります
また木地や漆の需要も、地震後減少したため
供給が量・質共に保つことが難しいとのことです。

日本=JAPAN これを小文字で綴ると「ウルシ」
日本は漆文化の国だ とこちらのお父さんが幼少の私に
教えてくれたことをよく覚えています

このお店の建物被害は少なかったものの、
住まいが全壊した職人さんも、被害の次の日から仕事されていたと聞きます。
たくさんの行程があり、少なくても一年余り必要とする漆器の納期を守るため
作業にあたるその姿には、感極まったと。

一瞬にして何もかも奪う地震、いつどこで起こるかわかりません。
若ご主人が目元を赤くしておっしゃるこの言葉、胸を打たれました。

もっと上手く綴れればと思うのですが、乏しい表現でもうしわけありません。
お読みくださりありがとうございました。

 

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